入管法改正について

令和6年6月10日から改正入管法(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律)が施行されました。
報道では難民の強制送還問題が報道されていますが、弁護士として実務上特に影響があると思われる改正内容は下記の点です。

①在留特別許可申請の明文化
「次の各号のいずれかに該当するときは、当該外国人からの申請により又は職権で、法務省令で定めるところにより、当該外国人の在留を特別に許可することができる」という条項を新設し、許可の基準について「在留特別許可をするかどうかの判断に当たつては、当該外国人について、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなつた経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となつた事実及び人道上の配慮の必要性を考慮するほか、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮するものとする。」と明記しました。
また、不許可になった場合その理由が書面で通知されるようになりました。
これまでも実務上在留特別許可のために書類提出を行っていましたが、今後は「申請書」に上記の考慮事項に沿ような事情を記入し、できるだけこれを裏付ける証拠を用意するという流れになると予想します。不許可の場合も理由が示されることで争いやすくなったと思います。
申請書のフォーマットは作りやすくなり、一般的な行政処分に近づいたと感じます。

②収用に代わる監理措置制度の創設
「退去強制を受ける者(収容されている者又は仮放免されている者を除く。)が逃亡し、又は不法就労活動をするおそれの程度、収容によりその者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮し、送還可能のときまでその者を収容しないことが相当と認めるときは、その者を監理措置(次条に規定する監理人による監理に付する措置をいう。以下この節において同じ。)に付する旨の決定をするものとする。」
よって、一定の場合に監理措置決定がされることで収用を回避できるということになります。
誰が監理人になるのか(適切な親族や知人がいない場合弁護士がなることも予想されます)、監理人の義務の重さといった問題(監理人にも報告義務違反の場合に過料の制裁が科されます)はありますので、今後どうなっていくか見守りたいですが、入管業務を取り扱う人間としては監理人になるかどうかも含めて実務上大きな改正です・

その他もいろいろな問題がある改正(難民申請中でも3回名以降は強制送還対象になるなど)です。入国在留手続申請代理届出弁護士として、改正の内容を正確に理解し、入管手続業務を果たせるよう努力していきます。



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