ただ要らないからという理由で、会社は労働者をお払い箱にできません。
解雇には「客観的に合理的な理由」と、「社会通念上相当であると認めらる」ことが必要です。
解雇できる例:
- 病気やけがが重く、職場復帰が不可能なケース
- 犯罪を犯し、会社の業績に重大な悪影響を及ぼしたケース
- 労働能力が著しく不足し、何度指導しても全く改善の兆候が見られないケース
- 重大な経歴詐称のケース
- 業績不振で
① 人員整理の必要性があり
② 解雇回避努力義務を尽くし
③ 被解雇者の選定が合理的で
④ 説明・協議など十分な手続きが尽くされたケース
解雇できない例:
- 病気があるが、配置転換により会社での仕事をこなせるケース
- 上司と不仲で、個人的に気に食わないからというケース
- 妊娠や出産、育児休暇の取得を理由とするケース
- 労働組合運動をしているからというケース
- 「うちも不景気でねぇ・・・」といきなり解雇したケース
なお、就業規則に定めがない場合、懲戒解雇はできません!
- 1. 解雇無効の確認の訴え
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上記の解雇理由がないことを理由に労働審判又は裁判をします。勝訴すれば、会社への復帰及び解雇とされた日からの賃金の支払いを受けられます。
- 2. 金銭による補償を求める
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解雇と言われている場合、会社との仲が険悪で職場復帰したくないというのが大半だと思います。この場合、職場復帰を放棄する代わりに和解金名目で賃金の何か月分かをもらったり、慰謝料の支払を受けることになります。
- 3. 解雇予告手当
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仮に解雇が有効だとしても、解雇を行う30日前までに使用者は解雇を通知しなければなりません。この通知がなくいきなり解雇と言われた場合、解雇予告手当として30日分の賃金の支払いを求めることができます。
派遣社員やパートだからと言って、好き勝手に解雇できるわけではありません。
派遣期間の途中で打ち切るには解雇と同様の理由が必要ですし、契約更新拒否をされた場合も、長期間更新してきたならば、更新拒否(雇い止め)が無効となるケースもあります。
退職するのは労働者の自由です、原則2週間前までに退職の意思表示をすれば、会社から「いなくなったら困る」などと言われても会社に残らなければいけない筋合いはありません。
他方、退職届を書けと言われて嫌々書かされたような場合、退職の意思表示の無効を争うことができます。退職の書面を残されてしまっても諦めないことが肝心です。
- 夜中まで働いているのに、「うちは残業代込の給料だから。」と言われて、一円も残業代が出ない。
- 休日出勤させられたのに、いつもと給料が変わらない。
- ミスをしたからという理由で、勝手に給料が減らされた。
- 「経営が厳しいから。」と言われて給料が払ってもらえない
⇒いずれも未払い賃金が発生しています!
労働法を無視した合意は無効です。会社が何を言っても、残業代を払わなかったり一方的に給料を減額してくるようなことは許されません!
- 1. 示談交渉
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未払いの証拠(雇用契約書、就業規則、タイムカード、業務日報など)を集めて、まずは不当に支給されなかったあなたの残業代(未払い分)の試算をします。 そのうえで、内容証明郵便等を利用して、会社に任意での支払いを促し、その後話し合い(示談交渉、和解交渉と言います。)を持ちます。
証拠がきっちり揃っている場合、冷静な会社ならここで任意に支払ってくるでしょう。
- 2. 労働審判
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労働審判とは、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、労働紛争を、原則として3回以内の期日で審理し、早期の解決を目指す制度です。
労働審判委員会が介入することで、相手方が未払い賃金の存在を争っている場合でも、実効的な解決が期待できます。
- 3. 訴訟
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労働審判でも解決ができない場合には、通常の訴訟手続きに移行します。証拠を裁判所に提出し、こちらの主張を書面にまとめ、場合によっては法廷にて証言してもらうことになります。一番時間がかかりますが、支払いを命ずる判決をもらえればあなたの未払い賃金を請求できる権利が確定します。
- 3. 強制執行
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判決が出てもなお会社が支払いを拒んでくる場合は、会社所有の不動産や預金口座の差し押さえなどで、強制的に未払い賃金を回収しましょう。
厚生労働省によるパワハラの定義は以下のとおりです。
職場のパワーハラスメントに当たる行為:
- 暴行・傷害(身体的な攻撃)
- 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
- 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
- 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
- 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
これらの行為を上司などからされている場合、慰謝料の請求が可能となり得ます。労働基準監督署に通報して、職場環境の改善を促してもらうのも有効です。
ただ、パワハラの場合、証拠がないというケースが多く、泣き寝入りが多いのが現状です。パワハラをされていると感じたら、ボイスレコーダーによる録音や、メールの保存、周囲の従業員に協力してもらうなどして証拠集めをしましょう。パワハラのせいで精神を病んでしまった場合は、精神科の診断書ももらっておきましょう。
職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。
「性的な言動」とは 性的な内容の発言および性的な行動を指します。 事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒などもセクシュアルハラ スメントの行為者になり得るものであり、女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が男性労働者に対して行う場合についても含まれます。
性的な言動の例:
- 性的な内容の発言 性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど
- 性的な行動 性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配 布・掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など
セクハラが行われた場合、慰謝料の請求が可能となり得ます。パワハラと同様に証拠をしっかり残しましょう。
職場でつらい思いをしていませんか?
妊娠・出産・育休などを理由とする、解雇・雇い止め・降格などの不利益な取扱いをすることは、全て違法です。
あなたには、安心して育児をしながら働く権利があります。仕事のために家庭を犠牲にしなければならないなどという思い込みはやめて下さい。
労災とは、労働者が業務中、負傷(怪我)、疾病(病気)、障害、死亡する災害のことを言います。職場での災害の他、通勤途中の災害についても保険が降りることを忘れずにおきましょう。
労災の種類:
- 療養補償給付(けがや病気で治療を受けた場合、治療費が下ります。)
- 休業補償給付(会社を休業することになった場合、一定割合のお金が支給されます。)
- 障害補償給付・傷病補償年金・介護補償給付(障がいが残ってしまった場合に支給されることがあります。)
- 遺族補償給付・葬祭料(死亡事故の場合に支払われます。)
- まず所管の労働基準監督署所長に保険給付請求を行います。
⇒給付決定又は不支給決定が出ます。
*会社が労災申請に協力してくれない場合は多いですが。その場合でも個人で労災申請は可能です。
- 不支給決定が出た場合、60日以内に労働者災害補償保険審査官に対する審査請求をすることができます。
⇒不支給決定の取り消し又は請求棄却(支払いが認められない)決定が出ます。
- 労働保険審査会に再審査請求
審査請求に不服がある場合、審査決定の日から60日以内もしくは3か月たっても審査官の決定がない場合に請求します。
⇒不支給決定の取り消し裁決又は再審査請求棄却裁決
- 行政訴訟
労働基準監督署などは行政機関ですので、公正な決定が出ないこともあります。そこで、裁判所に不支給決定の取り消しを求めて訴えることができます。
労災保険だけでは、損害の埋め合わせとして不十分なケースがあります。その場合には、会社に対して損害賠償請求訴訟を提起しましょう。
*会社が「労災もらったんだから十分だろ」などと言ってくる場合がありますが、労災保険金をもらったからと言って会社に対して請求できないということはありません。
ただし、労災と異なり損害賠償請求をするためには、会社に落ち度があったことを証明しなければなりません。
- 1. 従業員が労働条件変更に同意している場合
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両者の合意に基づいて適法に変更されるます。ただし、当該合意は、労基法などの強行法規に違反したり、就業規則・労働協約の定めよりも労働者に不利な労働条件を定めたりするものであってはいけません。いくら合意したからといって、最低賃金以下で働かせたり、残業や休日出勤の場合の割増賃金をなくすことはできないのです。
- 2. 従業員は労働条件変更に同意していない場合
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合意なき労働条件変更が労働者に不利益な場合、就業規則の変更が必要です。そして、、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が合理的なものであるときに限り労働条件の不利益な変更が許されます。
従業員のあずかり知らぬところで勝手に労働条件を不利益に変更することは許されないのです。
もしも、賃金や労働時間などが不利益に変更されてしまった場合、変更後の労働条件に従う義務はないと主張しましょう。泣き寝入りする必要はありません。